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親子の真夜中のトーク

今週の「ゴロウ・デラックス」のゲストは、吾郎も舞台でお世話になった伝説の劇作家の娘さん。

第百九十五回課題図書 『夜中の電話 父・井上ひさし最後の言葉』 井上麻矢著

Photo 2010年4月に亡くなった劇作家井上ひさしさん。その父と20年間疎遠だった三女の著者。2009年9月深夜、麻矢さんのもとに父であるひさしさんから電話がかかってくる。その夜中の電話は、父が亡くなるまでの半年間毎日続いた。「生きるということ」「仕事について」など、父、井上ひさしが語った最後の言葉をまとめた一冊。

麻矢さんは、現在、父であるひさしさんが旗揚げした「こまつ座」の社長。井上ひさしさんは、作詞家として日本人なら誰もが知っている有名な「ひょっこりひょうたん島」「ひみつのアッコちゃん」「ムーミン」などの作詞を手がけ、小説家としては直木賞を初め数々の文学賞を受賞。さらに、劇作家として数多くの名作舞台を生み出し、中には映画化された作品も多い。

井上ひさし 「芝居っていうのは、できていないのに切符を売るわけでしょ?全部信用で、ひとつ間違えれば詐欺ですよ。お客さんにしても、この作者とこの演出家でこの役者で、この人がからんでいるからこれはいい芝居になるはずだと思って、まだ何も内容わからないのに切符買うでしょ?これ、賭けなんですね。いい芝居だったら、これ当たった!って。これが、芝居の基本ですね」

舞台が好きで、舞台のお仕事を年に一度は入れてくれる吾郎のファンとしては、この井上ひさしさんのお言葉はすとんと胸におちてきた。ファンだから切符を買うというのは正直否定しませんが、きっと良い芝居になるという期待はいつも抱いて切符を買う。それは、絶対的にそう。そして、吾郎が関わった芝居はいつも素晴らしい。賭けの元がしっかり返ってくる競馬で言えば「順当」であり、そして「安心」である(笑)

作詞家としてヒット曲を世に送り出したあとも、これで一生食っていけるとは思っていなかった井上ひさしさんは、1972年に小説家として『手鎖心中』で直木賞を受賞され、1981年に『吉里吉里人』が180万部のベストセラー。長者版付にも名を連ねても麻矢さん曰く、ひさしさんは当時月に300~700万円ほど本につぎこんでいてあまり贅沢な暮らしをしていた記憶がないそう(笑)
吾郎 「もう、今だったらAmazonとかで買っていたら、Amazonポイントがすごいことに・・・」
(女性二人大爆笑)
吾郎さんの突飛な天然コメントは、人を和ませる(笑)

麻矢さんの子供時代の思い出を外山さんが朗読。たまに家族で行楽に出かけるも、ほとんどは書斎にこもりきりだったひさしさん。麻矢さんにとって、父の書斎は「聖域」で絶対に入ってはいけない場所だと感じていたそう。そんな書斎に飾っていたひさしさん直筆の座右の銘。
むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをきまじめに書くこと

吾郎も2011年に、井上ひさしさんの戯曲『泣き虫なまいき石川啄木』で、主演の石川啄木役を演じた。ひさしさんは2010年に亡くなっているので、吾郎の舞台を観られることは叶わなかったのが吾郎にとってもすごく残念なことであると話しています。舞台主催者であるシス・カンパニーの北村社長から、ひさしさんが病に倒られたと聞いてすぐに直接電話で「吾郎さんでこの作品をやりたい」とお話があり、ひさしさんがすごく喜んでおられたと。
その当時の台本の長台詞の部分を吾郎自身が朗読。今となっては、別物の作品を読んでいるような感覚らしい(笑) 分厚い台本を一ヶ月で全部台詞を頭に叩き込んだ吾郎。この年、「ぼっちゃま」と二作品の舞台をこなし、ドラマ「ブルドクター」も出演していたので切り替えも素早くしないといけないし大変だったと思います。

課題図書の中で、吾郎が1番心に響いた箇所。
いい芝居を見た後、「自分の人生そんなに捨てたもんじゃない」と思い、さらに自分の人生が、何だかキラキラしたものに感じられる
吾郎もいい芝居を観た後には同じことを感じ、それが芝居の良さであり、観に来た人にそういう風に感じてほしいと思うと真剣な表情で語る。なんだかじ~んときた(涙)

1986年に麻矢さんがフランス留学時代に、両親が離婚。父であるひさしさんから「子育てを間違えた」とある人から言われたと笑って告げられたことにショックをうけたのが父親と疎遠の理由。20年の年月を経て、がん闘病中の父から最初に電話がかかってきた箇所を吾郎が朗読。麻矢さんが留守中には留守電にメッセージを入れておくひさしさん。そのメッセージをスマホに入れて、元気がほしいときに麻矢さんは聞いているのだとか。

親太朗くんの消しゴムはんこは、そんな父ひさしさんと麻矢さんの真夜中の電話のイラスト。20年疎遠であっても、親子だから再び繋がる信頼と愛情。もしかしたら、ひさしさんががんにならなければ電話をかけることもなかったのではないかとも思い、麻矢さんにとって素晴らしいお父様と少しの間でも毎晩電話できたことは幸せだったであろうと思いました。井上ひさしさんには、やっぱり吾郎の舞台を観てほしかったなぁ。

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コメント

Kazuyoさま
放送中、本の中にちりばめられた井上さんの言葉が紹介される度に「なんて良い言葉なのだろう」と感銘をうけました。

父と娘の確執や、最後の留守電のお話、長い時を経て、結局、井上さんが遺した「こまつ座」のあとをついで、井上作品を世に送る役目をしている麻矢さんのお話にじっくり耳を傾ける吾郎さんと外山さん。特に留守電のメッセージを聞いている吾郎さんの目が感極まったように少し潤んでいるように見えたのは気のせいでしょうか。ゲストの心情に添った何時もの吾郎さんの対応は、見事としか言いようが有りません。この番組に登場されるゲストは皆さん、大きな優しさに包み込まれる様な気持ちになられるのではないかと推測します。年齢もキャリアも関係なく、こんなにもゲストが素敵な穏やかで満足げな笑顔で終わる番組は他に見た事がありません。

井上作品は既に演じている吾郎さん。これを機に「こまつ座」の舞台に立たれることもあるのではと思いました。

父娘の愛、井上さんの座右の銘、吾郎さんの包容力、すべて奥が深く、素敵なものを見せていただいたなぁと感謝しています。

投稿: さやか | 2016/02/21 14:29

telephoneさやかさん
飾り気のないストレートな言葉なのに、とても心打たれる言葉ばかりでしたね。20年も離れていた父親が築いた「こまつ座」の社長を務めておられる麻矢さんは親孝行者ですよねぇ。ひさしさんからの麻矢さんへの留守電メッセージ。ビジネスパートナーとしての信頼と、父親としての愛情も感じられて、聞いている吾郎さんも感動しているように見えました。先週の予告で、麻矢さんが「吾郎さんみたいになりたい」と話されていたのが流れなかったので、番組の公式サイトに次回の未公開放送SPで流してくれるようにお願いを出しておきました。吾郎のどういったところを麻矢さん(ひさしさん?)は「なりたい」と」おっしゃったのか気になったので。バラエティ番組となると、作家の方がゲストに来られてもどうしても笑いを取るように構成したいところだと思うけど、「ゴロデラ」は無理に笑いを引き出そうとはせず良い番組を作ることだけを考えているのに共感します。本の紹介も毎回とても丁寧ですよね。そこに、吾郎さんの聞き上手とコメント上手が入れば「鬼に金棒」(笑) そんな番組が吾郎の冠番組で良かったと本当に思います。

投稿: kazuyo | 2016/02/22 00:58

井上さんは吾郎ちゃんが啄木を演じる事を知っていて喜んでいらしたのですね。嬉しいですね。井上さんの作品は演劇をやられる方ならやってみたい作品ですものね。見ていただいて感想お聞きしたかったですね。闘病中に井上さんから娘さんにあてたメッセージには親として残しておきたい言葉以上の気持ちが含まれているのでしょうね。吾郎ちゃんが一番心に響いた言葉、本当に役者として、一人の人間としての吾郎ちゃんをそのまま表した言葉のように感じられますね。

投稿: ピカチュウ | 2016/02/22 01:28

telephoneピカチュウさん
吾郎が啄木を演じるにあたって「いいですね!」と言ってくださった井上ひさしさんには、本当にできることなら舞台を観てほしかったなぁと。今後、また井上さんの戯曲を演じる機会があると思うのですが、このときのことを思い出しそうです。劇作家の娘さんがゲストということで、舞台の話も吾郎がいろいろしてくれたのは嬉しかったです。自分が観る立場になっているときの姿勢とか、とても貴重なお話が聞けたのもありがたかったですね。

投稿: kazuyo | 2016/02/22 16:30

Kazuyoさま

また久しぶりのコメントですみません。
こちら愛知県では何週か遅れて放送されています。先日やっと、井上麻矢さんの「夜中の電話」を見ました。時々途切れたりしてやきもきすることもありますが、続いてほしいと切に願っています。なので、番組HPにその旨送っておきました。なんでも伝えなきゃだめだと思って。それに、読書バラエティというのがなかなかなくて貴重です。~ということも書いておきました。
ちなみに、
あのとき吾郎さんが「一番気持ちよくなる台詞」として読んだ箇所は、あの芝居(石川啄木)で私が一番印象に残った台詞だったんです。だからちょっとびっくりでした。Kazuyoさんにとってはもうだいぶ前の話でごめんなさい。
それから、
これもちょっと前ですが、中居君の「図書館」とーっても楽しかったです。

なんかとりとめのないコメントで失礼しました。

投稿: ちさ | 2016/03/30 20:18

telephoneちささん
放送遅れ地域にお住まいということで、過去の「ゴロデラ」にコメントありがとうございます。(最近の「ゴロデラ」の記事にコメントを残して頂いたのですが、勝手ながら移動させて頂きました。かなり前の記事へのコメントでも構いませんので(笑)) 関東よりだいぶ遅れての放送でも、続けて放送してくれているのならありがたいですね。そうそう、遅れても公式サイトに感想を送るのが大事だと思います。是非、続けてください。吾郎さんが好きな台詞が、ちささんと同じところだったんですね。私は、残念ながら「泣き虫なまいき石川啄木」の舞台は見ることができなかったのですが、吾郎がとてもうまく啄木を演じたと好評だったのは覚えています。中居くんの番組「ミになる図書館」でのゲスト出演は、もうずっと萌えポイントでしたね(笑) 今度は、剛の「ぷっすま」に「ダンス部」のコーナーでゲスト出演というのは嬉しいですね。そして、ドラマですね。来月も楽しみがいっぱいです。

投稿: kazuyo | 2016/03/30 20:48

Kazuyoさま

コメントの移動、お手数かけてしまいました。はい、これからは該当の記事のところにコメントさせていただきます。
ドラマ、私も楽しみです。

あ、これへの返信はどうぞご心配なく。

投稿: ちさ | 2016/03/31 17:58

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