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映画『少女』を観て

10月8日公開となった湊かなえさん原作の映画『少女』。公開二日目の日曜日に行ってみたら、小劇場とはいえほぼ満席でした。比較的若い方が多かったように思う。関西は、残念ながら出演者の方たちの舞台挨拶がなかったので公開直後の動員数はどんなもんかと思っていたら、案外と人が集まったなぁというのが正直な感想でしょうか(笑)

原作を先に読んでから観に行ったので、映画ではカットせざるを得なかったところも踏まえて原作に忠実に作られている印象がありました。率直に言うと、前半の部分がとても丁寧に作られていたので、後半の畳みかけるような展開のギャップが大きかったようには感じるけど、クライマックスに向けての勢いはあったのではないかと。

ここからネタバレを含みます

メインの女子高生の二人が、「人が死ぬところを見てみたい」という突拍子もない思いを抱く。一人は、剣道で活躍していたものの怪我で断念することになり、もう一人は認知症になっている祖母からの厳しい折檻で手に傷を残している。それぞれが、胸の内に暗いものを持って生きている。

山本美月さん演じる敦子は、実際は怪我は足をひきずるほどのものではないのにずっと学校では演じている。そのほうが都合がいいから。級友たちからの視線に怯え、本田翼さんが演じる親友の由紀が自分のために書いている小説の意味も知らない。親友なのに、思っていることをお互いちゃんと向き合って話していないことから、ちょっとした気持ちのズレがある不思議な関係。

そんな二人が、それぞれの夏休みの過ごし方で一変する。由紀は、電車に投身自殺をした男性を目の前で見た男子学生と出会い、敦子は老人ホームのボランティアに参加して、そこで働く物静かな男性に会う。この男性を演じているのが吾郎。痴漢の冤罪で、家族と職を失いひっそりと働いている。職場の人ともほとんど話さないけど、本当はとても優しい男性を吾郎がとても静かにうまく演じている。

どう終わるのかと思っていたら、最後にあらゆる事柄が結びついていく様子に思わず劇場で声を出してしまう人もいたぐらい(笑) この辺は、原作の湊さんの力量ですよね。原作からカットされた部分もあるので、もしかしたらわかりにくいところもあるかもしれないけど、ゆったりと流れていく前半をしっかり観ていたらちゃんと理解できる。三島有紀子監督の映像も作品にあっていたように思う。

原作にあって映画の中に入れたほうが良かったのではないかと思ったところがひとつ。転校してきた紫織の親友が自殺した理由。これが、結構、小説の最後の締めにあったのでそこが抜けていたのは個人的には残念な感じでした。

後半からの吾郎の出演ですが、とても重要な役割で女子高生二人にとっても、彼の家族にとっても意味のある人。SMAPの稲垣吾郎というものを前に出さず、平凡なのに冤罪という過去を背負って生きている一人の男性を作品のキャラクターとして演じている。それが、とってもうまいと感じた。地味な役かもしれないけど、とても重要でこれ以上ない演技を披露してくれています。

吾郎が言うように、この作品は考えさせられるものなので二回ぐらい観たほうがスッと入ってくるかもしれない。相変わらず、「何度も観てください」などとは言わない吾郎(笑) それだけ、作品と自分が演じたものに自信があるのだろう。映画が好きで、ひとつの作品に限らず何作も観ている吾郎ならではの宣伝の仕方ではないかと(笑) 
(初日公開の舞台挨拶での様子では、吾郎さんが大活躍でしたね(笑) 制作側にとってはありがたい人だと思います)

映画の予告スポットがテレビでも流れていましたが、あそこだけを見るとサスペンス色が強く不気味な映画だと思われるかもしれませんが、二人の女子高校生のひと夏の経験ともいうべき青春映画でもあります。思わず、ホロッと涙するところもあるので、是非たくさんの方に観てほしいなぁと思いました。

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コメント

Kazuyo様,こんばんは。昨日やっと映画 見ることができました。前半は正直ちょっと退屈だったかな?映像がとても美しかったのですが、やっぱりお二人の女優さん高校生には見えないんですよね?!後半 急に話が展開し始め流れが変わっていきます。吾郎さん、やっぱりかっこいい!息子役の子役さんがとてもお上手で髪質もごろうさんにそっくり!いい感じの親子でした。安いアパートのドアの前で静かに語りかけるシーンが一番好きです。ジーンとしました。不思議な感じの作品で、好きとか嫌いとか一言で言えない作品です。もう一度見てゆっくり 感想 書きたいなー、と思います。吾郎さんは素敵だった!とそれだけはいっておきます!
とりとめのない感想ですみません。

投稿: 葵 | 2016/10/17 20:04

kazuyoさん、こんばんは。「少女」は、私も原作を読んで、映画を拝見したんですが、とても湊さんの世界に忠実に作られており、映画オリジナルのもあれば、原作の世界が映画の世界に飛び込んできたものもあって、劇場内もすすり泣く声やびっくりする声など皆さんと一体になって楽しめました。出演者の方も、吾郎ちゃんはもちろん、主役の翼ちゃんと美月ちゃんは、闇と傷をかかえたでも、ホントは純粋な少女を上手く演じており、吾郎ちゃん演じる孝夫も、過去に家族、職を失い深い傷を負ったでもとても温かい男性を素晴らしく演じていました。それにしても、同じ学校に職を置いてる身として、生徒たちと接する身として、児嶋さん演じる小倉は最低、この映画は孝夫さん以外虫唾が走るくらい最低で身勝手な大人たちが出てきますが、こういう腐った教師に傷つけられる生徒が現実にも沢山いると思うと許せません。敦子と由紀は、敦子は怪我やいじめにより人生がわからなくなり、由紀は祖母からの折檻で地獄の毎日から消えたい思いがあり、二人とも心の傷の深さから、「人の死を見たら何か変わるかも」と思ったのかもしれない。これは、トラウマや複雑な背景が絡まり合って、そういうとてつもないことを思ったのかもしれないと思いました。でもホントはそんなこと望んでなくて、実際に助けようとしてたりショックを受けてるところは、この子たちは、ホントは命の重さをちゃんと感じてるんだ、絶望から突拍子もないこと考えたのかもしれないと思いました。そういう発想をさせて彼女たちを傷つけた者達が一番悪いと思いました。紫織もやったことは許せないけど、彼女もまた、父親があんなだから、「中年男性」というのに嫌悪感を抱いてたのかもしれない。でもなんの罪もない人を、陥れて、何もかも大切なものを奪う権利は誰にもないですよね。孝夫さんと昴くんのシーンは吾郎ちゃんも仰ってましたが、昴くんの気持ち、孝夫さんの気持ちを思うと胸にくるものがありました。ちゃんと天パな昴くんが可愛かったです。吾郎ちゃんの孝夫さんは文句なく素晴らしかったです。顔の表情も素晴らしくて孝夫さんに引き込まれました。スピンオフでみたいくらい、孝夫さんの魅力に嵌ります。それくらい素晴らしいの一言です。この映画は、考えさせられるものもあり、感動もあり、またすくわれない部分もあるけれども、人の命について、人を陥れたり、傷つけるとそれ相応のことがかえってくると言う事。また友情を大切にということ、今生きずらい世の中だけど、この映画を見て世の中を生きていくヒントを教えられました。何度でも見たい素敵な映画です。

投稿: りな | 2016/10/17 21:38

virgo葵さん
そうなんですよねぇ、吾郎が出ていないとかではなくて、前半がとてもゆっくりした流れになっていたので後半に詰め込んだ感じはありましたね。説明しておかないと最後でわからなくなるというのはあると思うのですが、同じようなことを何度も入れ込んでいる箇所もあったので、もう少し夏休みに起こったことを丁寧に入れ込んでほしかったというのはあります。本田翼ちゃん演じる由紀のエピソードが無駄に長いような気はしました。吾郎演じる高尾が静かに敦子にドア越しに語るシーン良かったですよね。原作では、敦子がほんのりと高尾に恋心のようなものを抱くのが映画では描かれなかったのが残念。このシーンの流れで入れ込んでほしかったなぁとは思います。そうは言っても、やはり映画化する上での映像の技巧的な部分は素晴らしかったと思います。劇場で観るべき作品。見たあとに、いろいろ語りたくなる作品でもあるので、是非、劇場で観てほしいですね。


virgoりなさん
「少女」は湊作品の中では初期のものなのに、映像化されたのが遅かったと湊さんご自身がおっしゃっていましたが、映画を拝見して映像化するにはなかなか難しいんだなぁと思いました。映画にするには、原作を全部入れ込むことは不可能なので、どのシーンをカットして編集していくかがとても大変だったんじゃないかと。メインとなる流れをうまく映画として作り上げたように思います。若干、主演のお二人が女子高校生を演じるには大人なのが気にはなりましたが、お二人ともうまく演じられていましたね。いっそうのこと、無名の高校生をキャスティングしてもよかったのでは・・・とも思ったけど、そうなると動員するのが難しいのかな。意外とと言ったら失礼ですが(笑)、アンジャッシュの児嶋さんが嫌な高校教師を無理なく演じられていたのが驚きでした。男子学生役の真剣佑くんは、ドラマ「仰げば尊し」で初めて拝見したけど、この作品でも良い演技をしていました。今後も、活躍されるのではないかと。吾郎といい、男性陣の自然な演技が光った作品でしたね。高尾さんの子供は、これまた吾郎に似ている子役の方を選ばれたようで(笑) ドラマといい、吾郎の子供や子供時代の子には、なぜかいつもくせ毛で可愛い子が選ばれる(爆)吾郎のイメージがそうさせるのかな。最後、映画ではハッピーエンド的に終わっていますが、原作では闇は続いている感じで湊作品独特のものだったのですが・・・どっちが良かったのかな。救いを最後に残しておいてくれたのが映画ですね。劇場を後にするときにホッとするほうがいいのかもしれない(笑)

投稿: kazuyo | 2016/10/18 00:29

kazuyoさん、こんばんは。
「少女」2回鑑賞しました。
1回目は、むかーし読んだ原作の内容を漠然としか覚えてなかったので、程よく初見のような、程よく理解しやすいような、ちょうど良い塩梅だったような気がします。
この息苦しさ、あったわーとか、この空気感じたことあるわーとか、前半は話を追うというよりも感覚的に見ていた気がします。おかげで見落とし聞き逃しで引っかかった所があったので、原作を再読し、2回目に臨みました。
今度は、ほおーこうまとめたのか!とか、こんな風に表現したんだ!とか、また違った見方ができて面白かったです。ただ、原作を知らずに初見の場合は、前半結構気を張り詰めないと、わかりにくい所はあるかも。
原作は、ヒロイン二人にも因果応報が巡ってくるだろう、という陰鬱さがありましたが、映画ではその部分が削られていたので、毒が薄って、闇の向こうに光が見えるような優しさが感じられました。
「崇高さ」を求められた吾郎さんの演技、素晴らしかったです。病室のシーンはもう、聖母マリアかと思いました。
映像は美しく、いろんな解釈や楽しみ方ができて中毒性のある作品ではないでしょうか。また観たいです。

投稿: せりん | 2016/10/18 17:03

virgoせりんさん
私も原作を先に読んでいたので、「あぁ、あの場面・・・」などと後追いするような形で観たように思うので、やはり二回ぐらいは観ておいたほうがいいですかね(笑) 観終わったあとに、なんだか考えさせられる作品でもあるので、ストレートにわかりやすい映画が好きな方にはピンとこない作品なのかもしれません。実に、湊かなえワールドを如実に映像化された映画になっているなぁと感じました。映画サイトのコメントでも、軒並み賛否両論ですしね(笑) 原作好きの方たちの中でもそんな感じで、ちょっともったいないなぁとは思いました。暗いという感想も多かったように思いますが、原作はあんなものじゃないので(笑)、うまく映像化されたなぁとは感じましたけど。まぁ、観る人が違えば感想もいろいろなので、それはそれでいいんでしょうね。映画では、吾郎演じる高尾孝雄が救いのような部分もあるので、吾郎が選ばれた理由がわかりましたね(笑)

投稿: kazuyo | 2016/10/18 22:05

Kazuyoさん、「少女」の感想ありがとうございます。私も初日にゴロ友さんと拝見してきました。私は原作を読まずに初見で拝見したのでKazuyoさんの感想が自分の中の疑問な点やわからなかったところなどの解決の糸口になりとても参考になりました。ありがとうございました。私も三島監督が湊さんの作品を映画の尺にしっかりまとめられたのにはうなりました。監督は脚本も書いてみえられるので絵にぶれがなかったのだと思いました。それに不思議な事に原作では二人の主役に因果応報がめぐってくるだろうという陰鬱さがあるという事ですが映画では直接暗示はなく二人は明るく終わっています。でもなぜか私とゴロ友さん二人とも紫織と亡くなった友達が主役の二人の鏡合わせで最後の紫織のラストをみて、あ~二人も因果応報がめぐってくるだろうと感じさせるそんな創りになっていたのだなぁと・・・。この作品やはり2回以上見ないとホントのところ私にはまだ理解できていないかもしれません。吾郎ちゃんの演技は見事でしたね。あの舞台の最中に凄いとしか言いようがありません。監督のこだわりでしょうか、孝夫さんは登場最初も自転車に乗っている際も昴くんとのラストも後姿なんですね。後姿で孝夫さんの感情や思いが感じられる。だから吾郎ちゃんの最高のシーンもカットして後姿にされたのですね。この作品での存在感が最後のエンドロール「稲垣吾郎」の文字に感じられました。

投稿: ピカチュウ | 2016/10/20 01:06

こんにちは。初日舞台挨拶に行ってきました。今回はわりとチケットが手に入りやすく、たくさんの吾郎さんファンもいらしていたのでは、と思います。私が観た回は本田翼さんのファンと思われるおしゃれな可愛いお嬢さんが多かった気がします。「バッサー可愛い~!」とささやく声があちこちから聞こえました。わりと静かな舞台挨拶(笑)、と言う印象でした。吾郎さんと児嶋さんのトーク、良かったですよ(笑)。同行した主人は紫織役の佐藤玲さんの舞台での素晴らしい演技を観てファンになり、この「少女」も楽しみにしていたようです。原作は読まずに観ました。感想の難しい世界だなぁ…と率直に思いました。前半は特にちょっとスクリーンから目を背けてしまう時間もありました。私が個人的に苦手に感じるシーンなんだと思います。中盤、吾郎さんはどこで出るんだろう…と思っていましたので、登場にホッとしました。物語がそこから周り始めましたね。要になる役なのかな、と思いました。こちらの感想やコメントにもあるように、紫織の転校にまつわるエピや親友のエピがあった方が分かりやすかったかな、と思います。私の周りのSMAPファンもまだ観に行っていない人がほとんどなので、宣伝しておきます!今週の吾郎さんのドラマも楽しみですね♪

投稿: つじ | 2016/10/20 16:16

virgoピカチュウさん
原作を読んでいないと、やはり初見はちょっとわかりづらいところもあったみたいですね。最後にすべてが繋がっていくところで「あぁ、そういうことか!」となるのは快感だったのではないかと(笑) 苦言コメントもあるいたいですが、映画は原作をすべて描くには無理があるので、三島監督がこだわったところをメインに表現したらこうなったという意味ではよかったのではないかと思いました。ストーリーを変えずに、湊かなえ作品の不気味な部分もしっかり描かれていたと思うので。吾郎は、監督の期待どおり「背中で語る男」を見事に体現してくれたなぁと(笑) ストーリーの中だけでなく、観ている人たちも包み込んでくれる孝雄さんでしたね。エンドロールでは、最後のトメでクレジットされるのはもういつものことのようになっていて、それを見届けるのも快感でした(笑)


virgoつじさん
吾郎さん出演の映画を観に行ってくださったんですね。初日の舞台挨拶も行かれたようで羨ましい(笑) チケット取りやすかったんですかね? 私の周りでは、意外と落選した方も多かったのですが。小説が原作となっているのですが、確かに感想は実に書きにくかったです(汗) ブログにあげる段階で何度と手がとまったので(笑) 劇中での小説「ヨルの綱渡り」が重要なファクターになっていたと思うのですが、これがまた困惑する要因のひとつで、映画化されたものはさらに難しく感じられました。映像はとてもきれいで、水の中に人が沈んでいく画は幻想的でさえありました。吾郎さんが、前半はまったく出てこないので普通に映画を観劇に来た感覚でいられたのは良かったのか悪かったのか(笑) 後半からの吾郎演じる孝雄さんの存在感たるや。脇を演じるというには、毎回、いつもとても印象的なキャラクターを見事に演じきってしまう吾郎なので、主演ではなくても見る人の印象に残りますね。そうは言っても、たまには主演もやってほしいというのがファンの率直な意見でしょうか(笑) ご本人は、癖のあるキャラや重要な役割を演じるほうが楽しいみたいですが。そういう意味でも、土曜日のスペシャルドラマは実に楽しみです。

投稿: kazuyo | 2016/10/21 00:34

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